2026年
 つぶやき

1/1
◆ 食べたいもの
 北アフリカ料理、クスクス。
 まあ、貧乏人の食べ物って感じだけど、おいしいものはおいしい。
 日本でも食べられるらしいけど、店はどこなのか、ぼくはしらない。
 いまは歩行が不自由だから、場所がわかっても行くに行けない。

1/2
◆ ぎっくり腰?
 突然にではなく、徐々に痛くなった。
 だから、何がきっかけなのか、わからない。
 立ったり座ったりするときにイテテテテである。
 やな感じである。

1/3
◆ 動かず
 少しは動いたほうが腰にはいいんでしょうが、ね。
 立ちあがるとき、ひとの手を借りたい気がする。
 それは願ってもかなわぬことゆえ、イスにすわったまま正月をすごす。
 硬くなったバゲットをかじる。

1/4
◆ 知久寿焼の歌
 「おるがん」という歌。ぼくも歌おうとするのだが、音程が高すぎて相和せない。
 「ぼくが死んだ日、おじいさんは2階の屋根で古いおるがん弾いてくれたんだ」
 後になっても、この部分のみが頭の中で何度もくりかえされる。

1/5
◆ 西陽が暖かい
 机に向かうと体の右側が暖められる。
 ぼくは「てい」もなく気持ちよく眠りにおちいる。

1/6
◆ デイサービス
 自分の家にいるときよりくつろげる気がする。
 運動のあいまに、ちょっと目をつぶるとスーッと眠りにおちいる。
 眠ってるときだけでなく、だいたいいつもぼくの口はぽかんと開いている。
 ゆるみきっているわけだ。

1/7
◆ 怖い夢
 庭に人喰い熊が現れ、ぼくはすっかり恐れおののいた。
 びびってしまうほど恐ろしい夢を見たのは
 何十年ぶりだろう。

1/8
◆ 鬱
 昼も夜もひとりで「自炊」して食事をすますことになり
 おお、好物のトマトスープをつくるぞ、と心がはずむ。
 ところが、ぼくの自炊については、台所が「よごれる」と家族の猛反対。
 ぼくはそれを押し切る元気もなく、誰もいない居間でバゲットをかじる。

1/9
◆ 知らない言語
 興味があるので「はじめての〇〇語」ってのを読みはじめた。
 おもしろいんだが、なぜか疲れる。
 やっぱ、齢かなあ。

1/10
◆ なかよし体操クラブ
 高齢者が集って体を動かすサークルに入っている。
 最初にそろって足踏みすることから始まる。
 ぼくはこれ苦手なんだ。
 ほかの老人たちは軽やかに足踏みをしているが、ぼくにはそれがむずかしい。

1/11
◆ スクリーンセーバー
 パソコンを放置してると画面に空撮の段々畑があらわれる。
 これを見てると、なごんじゃうのよねー。

1/12
◆ 老後
 どういう暮らし方が幸せなのか、よくわからない。
 今が不幸とも思えないので、これでいいのかも。

1/13
◆ ぼんやり過ごすのか
 デイサービス、週1回だけどありがたく利用している。
 不満と言えば、運動をしない時間が長いこと。
 なるほど、眼をつぶってれば何てことなく時間はすぎていく。
 でも、もったいないので写経でもいいから指を動かしたい。

1/14
◆ 筆写するに値するもの
 指を動かすために何かを書き写そうと思い、百円ショップで原稿用紙を買った。
 こういうマス目を見るの、何十年ぶりだろう?
 自分の本棚を眺めて、適当なネタ本をさがすのだが
 翻訳本が多く、美しい日本語で書かれたものは少ない。

1/15
◆ 江口渙(かん)の本
 ボロボロになっている『わが文学半生記」(青木文庫、1968年)をおもしろく読む。
 40年以上前に学園祭の古本市で買ったものだね。
 夏目漱石周辺の文学者が鋭い批判とともに紹介されている。
 江口による批判の、達意の文章を引用したいがやめます。

1/16
◆「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
 ジム・ジャームッシュ監督の映画(1984)をあいかわらず感心しながら楽しんだ。
 そのなかの名セリフ「新しい所へ来たのに何もかも同じに見える」の原文は
 "You come to someplace new, and... everything looks just the same."

1/17
◆ 足の爪切り
 (前にも書いたが)ぼくは体が硬いので苦労する。
 いつかは人の助けを借りることになるだろうが
 いまはまだなんとか自分でがんばっている。

1/18
◆「ズートピア 2」
 家庭の事情で米国アニメ(吹き替え版)を、府中の映画館まで見に行った。
 館内の階段は、じつに登りも降りも苦労させられる。
 もちろんぼくはことさらに足の不自由を強調してみせるのだが
 映画を見に来たガキどもは、無頓着にぼくの背後を駆け抜けていく。

1/19
◆「続・わが文学半生記」
 江口渙の本の続きを読んだ。
 第一部とうってかわって、「続」のほうは政治絡み。
 江口はノンポリからアナキズム、テロリズムへ傾斜する。
 大杉栄とかの、革命的な人士と絡む内輪話がおもしろい。

1/20
◆ 極楽極楽
 週1のデイサービスは入浴の介助がある。
 ありがたさに両手をあわせたくなる。
 気持ちよさには気を失いそうになるんだよね。

1/21
◆ 映画好きのふり
 映画は、パソコンの画面でけっこうマメに見ているのだが
 映画のあらすじを思い出そうとするとちゃんと覚えていない。
 だいたいおもしろかったかどうか、これがすべてである。
 だから、ぼくは昔から映画について人と語り合えないのである。

1/22
◆ 床屋に行きたい
 ぼさぼさの頭をどうにかしたい。
 いや、ああいう風にしたいというイメージはある。
 それを言葉にして、床屋のおやじに伝えることができない。

1/23
◆ ケアマネージャーとの面談
 ぼくの身体の状態は「要支援1」のまま、に決定したとの申し渡し。
 すでに文書はいただいたが、その丁寧な説明があった。
 ぼくみたいな対象者は多いだろうに、実情はちゃんと理解されてる。
 感心させられる。

1/24
◆ チャレンジしかけた
 家の裏手に小さな床屋があるが、入ったことはない。
 ちょっと冒険する気になり、ヨタヨタと歩いて行った。
 が、入口のガラスのむこうにオヤジが立っており、目があってしまった。
 ぼくは気持ちがなえて、そのまま立ち去った。

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