2002年
 つぶやき

4/1

◆人事異動
 今度は商経学科長として,ひきつづき管理職をつとめる。
 辞令交付式は単なるセレモニーだから休んでもよかったが
 学長も替わったので,これも人づきあいと思って出席。


4/2

◆寝不足
 インドネシア人の知人が鹿児島にやってくる。
 大阪発の高速バスは早朝7時半に到着予定なので
 十分睡眠をとれぬまま6時前に起床した。
 目覚ましを持たないから二度寝をして寝過ごすわけにゆかぬ。
 おかげで出迎えは首尾良くいったが
 その後は終日うつらうつら。


4/3

◆無用の長物
 引っ越しに伴い,古い家具があちこちで「処分」されている。
 捨てる人・拾う人が数珠つなぎ(あるいは玉突き現象)。
 ぼくはその末端にいて,ソファとテレビ台をもらう。
 ソファは一人用だからまだいいが
 テレビ台は異様に長くて,どこにも置くところがない。
 もっと小振りなものを想像して,引き取りを承諾したのだが
 処分に困る立場まで引き取ったわけだ。


4/4

◆懲戒免職
 鹿児島国際大学で,ものすごいことが起きている。
 経営者側(学長を含む)の意に添わぬ教授3名が解雇された。
 あまり問題になりそうにないことが解雇理由になっており
 ほとんど狂気の沙汰のように見える。
 解雇された人も解雇した学長も,経済学史学会会員なので
 狂気の度合いはさらに増す。
 大学でも,いよいよ強者の論理が横行する時代になったのか。


4/5

◆分別回収
 ゴミの区分がかなり細かくなったため
 つい出し忘れることが多い。
 出そうと思うと回収日は昨日だった,なんてことがよくある。
 とうとう瓶やカンが台所にあふれ始めたので
 金曜の指定を今日は逃さず,捨てに行く。


4/6

◆サーバの設置場所移動
 商経学科のサーバマシンを入れ替えた。
 といっても,同じくらい古い機種(Power Mac 7600/120)だが
 内蔵ハードディスクから異音が出ない分だけまし。
 ついでに,隣接のデータベース用マシンともども置く場所を変える。
 すべてのマシンをロッカーの上に置き,空間を拡げた。
 土曜日の職場,一人黙々と重たいモニターなどを持ち上げる。
 地震が起きたらヤバイけど,これで当面の問題は解決。


4/7

◆アメリ
 昨年フランスで大評判の映画が鹿児島の映画館にも来た。
 ほとんど前知識なしに観たが,しみじみとしてしまった。
 仏映画「デリカテッセン」に似ていると思ったら同じ監督だった。
 いずれもぼくの好みです。(いうのも恥ずかしいけど)
 ネット上では賛否両論が激突しているみたいだね。


4/8

◆入学式
 商経学科の新入生はみな賢そうな顔をしてる。
 今年は当たり……なんて書くと在学生は怒るかもしれない。
 今日,ある2年生から「先生のページ見てます」と言われた。
 これも意外だった,と思うのも問題か?


4/9

◆合宿
 新入生歓迎の「合宿」を行う大学は多い。
 しかし,たいていはホテルなどを使っている。
 その点,商経学科はすごいぞ。
 小学生などを対象とした教育施設(自然の家とか)を利用するのだ。
 このビンボー臭さも慣れるとけっこう味わいだぜ。
 くさやの干物のように……(といっても食べたことないけど)。


4/10

◆朝礼
 きりしま自然ふれあいセンターでの合宿を終えた。
 ここは予想以上に使い勝手が悪くなっていた。
 3年前は利用者を大人扱いし,気持ちよかったのに
 今年は大学生をまるで小学生扱い。
 指導員がみな小中学校教諭からの異動組なので
 つい余計な「指導」をしたがるみたいだ。
 「この線に沿って整列!」とか号令をかけたがる。
 ぼくが「仕切るのはこちらにまかせてほしい」というと
 彼らの怒りを買い,毛布の整頓のやり直しを命じられたりした。
 たたんだ毛布の角がそろっていない,というのだ。
 ああいう教員たちを見ると,鹿児島の教育に寒さを覚える。
 命令に黙って従うことの強制を鹿児島では教育と称する。


4/11

◆授業開始
 木曜日は朝から夜まで3コマの授業がある。
 今日は初日ゆえ,けっこう疲れたよ。


4/12

◆おしごと
 意外にも同僚たちはみんな仕事をしたがっている。
 疲れることはしたくない,と連中は一様にいうはずだったが
 なぜか嬉々として校務に取り組んでいる。
 新学期早々の瞬間風速にすぎないのかな?


4/13

◆マック賛
 夜間部の学生に学科の電子掲示板を利用させたくて
 彼らがたむろする玄関ロビーにパソコン2台を置いた。
 Windows機とマックだが,いずれも5年以上前の旧型。
 土曜の午後,ひとり黙々と設置作業にとりくむ。
 田舎の小学校長が休日の校庭で花壇づくりに励むのと同じ図柄。
 さて,設置した機械を立ち上げ,学科のHomePageを眺めると
 やはりマックの方が見栄えがよい。
 Windows機のフォントや行間隔は何だか汚い。
 見慣れてしまえば平気との説もあろうが
 そういう人とはあまり友だちになりたくない。
 チャールズ・ブコウスキーの『死をポケットに入れて』でも
 この作家がマック愛用者だとわかり,いい気分になる。


4/14

◆ウンコ
 いま佐賀大学にいる元同僚は怪しいやつだった。
 論文を書いているときが一番楽しいというのである。
 ぼくの院生時代の指導教員によれば,論文執筆は排泄行為だ。
 たしかにウンコするのは楽しいともいえるが
 それを他人に見せようとするのは変態行為に近い。
 やはりもっぱら本を読んだり調べものをして楽しみたい。
 本を読むと,自分の言いたいことは古人がすでに語っている。
 論文執筆は「仕事」ゆえ,いやいや取り組まざるをえないが
 ウンコと同様,人目を避けて密かにすませるべきもの。
 ただ,最近はぼくもだんだん「怪しいやつ」になりつつある。


4/15

◆困ったときの友になりたい
 鹿児島国際大を解雇された3教授の支援活動に
 ぼくも参加しようと思う。
 管理職なので自重すべきかとも思われたが
 国際大の理事会の仕打ちが理不尽すぎることと
 国際大にいるぼくの友人も首になりそうな気配ゆえ
 理においても情においても座視できない。
 「改革」を進めたい理事会にとって経済学部の抵抗は
 たしかに不愉快きわまりないかもしれないが
 だからといって学部長その他を解雇するのは蛮行。
 こんな手口が許されるなら,大学の教員は自由に発言できなくなる。


4/16

◆奥歯のブリッジ
 9日の新入生歓迎合宿のときブリッジがはずれた。
 先月19日にはずれたのは右の奥歯で,今度は左。
 このブリッジはヒビ割れてもいたので新しく作り直し
 本日装着。治療費5070円也。


4/17

◆就眠儀式
 枕元に本が積んである。
 しかし,寝ながら本を読む習慣はなくなった。
 横になれば眠ってしまうからだ。
 健康的ともいえるが老化したともいえる。


4/18

◆教科書
 新入生は例年この時期たくさんの教科書を買わされる。
 けっこうな額になる。
 買わせる方(教員)はよほど教育効果に自信があるのだろう。
 ぼくは自信がないので最近は教科書を使わない。
 わが娘と同様,本を読むのが好きじゃない学生も多いのだ。
 そういう連中に無理に本を買わせたくない。
 文字情報ならWeb経由で得させる方が教育的とも思われる。
 と思いつつも,今年のゼミではテキストを使うことにした。
 ただテキスト代金は教員が負担したい。
 夏,商工会連合会から頼まれて行う調査活動の謝金で
 この代金をカバーしようという考え。
 調査にはゼミ学生を使うし,テキストも調査に関連するので
 自分としては円環の閉じたグーなアイデア。


4/19

◆学科の教員会議
 学科の基本方針は「みなノリノリで行こうぜ」だ。
 教育も研究も楽しく盛り上げたい。
 でもまだ,疲れることはしたくない,って顔もチラホラ。

◆コンパ
 夕方から1年生基礎ゼミの連中とお食事会。
 西鹿児島駅近くの「韓国家庭料理ソウル」では
 死ぬほどたらふく飲み食いしても一人2千円を超えない。
 2千円を超えなければ飲食代は教員が払うことになっている。
 一同黙々と飲食し,ほとんど盛り上がらぬまま8時にお勘定。
 「次は近くのファミレスでデザートだ」と提案したら
 学生たちから「今日はもういいです」とクールな答え。
 一人自転車にのって夜道を帰る。


4/20

◆静思?
 学生自治会主催の新入生歓迎合宿に参加した。
 南薩少年自然の家(金峰町)だ。
 鹿児島には大学生向きのセミナーハウス(宿泊施設)がない。
 したがって,どうしても子ども扱いされてしまう。
 就床前に「静かにものを考えなさい」と放送で指示。
 静思と称するが,いかにもマニュアルどおりの指導。
 「これまでお父さんお母さんに何をしてもらいましたか」とか
 与えるテーマも,いかにも児童向け。


4/21

◆カヌー
 合宿二日目の朝,カヌーに乗る。
 一人乗りかと思ったら9人乗りで,でかい。
 昔,大学1年の夏,体育の授業でボートに乗ったことを思い出す。
 ボート部の部室に泊まり込みで,死ぬほど苦しかった。
 あれに比べれば,ただプカプカ浮いてるだけの水遊び。


4/22

◆台南食堂
 うちの近所の台湾料理店は店名を変えて存続。
 前の経営者はピストルで撃たれたとかの噂。
 そういう意味でも何だか怪しい店だが
 再開記念にフカヒレスープがサービスされるので
 いってみると料理は前よりも美味になっていた。


4/23

◆意見広告
 鹿児島国際大を解雇された3教授を支援する全国連絡会が
 近日中に南日本新聞に意見広告を出すという。
 ぼくも名を連ねることにした。
 解雇した側(理事会)には伊東光晴がいる。
 「岩波文化人」伊東光晴の開明的なイメージは幻想だったのか!
 (リンクページで「全国連絡会」のサイトを紹介)


4/24

◆忙しいとは言いたくない
 ほんとは忙しいんですけどね。
 でも,仕事は自分で好んで請け負ったものだし
 忙しいとぼやいても誰も同情してくれまい。
 アヒルはゆったり泳いでいるように見えて
 その水かきは水面下で忙しく動いている。
 そういう風に見かけ上は余裕をかまそう。
 と,舞台裏を語るのも小者のしるし。

◆マイレージの特典利用
 数年がかりでANAにもマイレージが貯まったので
 月末,福岡に行ったついでに福岡→東京の便に乗りたい。
 ところが調べてみるとANAの便は満席ばかり。
 一方,JASの福岡→東京は空席だらけ。
 しかたなくJASで上京することにした。
 ANAのジャンボ機の方が乗り心地がいいんだけどな。


4/25

◆日産工場見学
 福岡県北部にある日産の九州工場を見学した。
 商経学科と生活科学科の5ゼミ合同の旅。
 県庁のバス2台を連ねて,高速道路を走る。
 工場のあとは門司のレトロな建物を見に行く。
 いま門司へ向かう車中でこれを書いている。
 夜は「飲み会」なので書く時間がなさそうだから。


4/26

◆文化三昧
 二日目はまず福岡市博物館から。
 学生たちは昼からの自由行動=お買い物が楽しみ。
 ぼくは福岡ドームの内部ツアーグループに参加。
 そしてその後は連れもなく一人ぼっちになる。
 KBCシネマで中国映画『活きる』を観て大泣きし
 夜7時から西鉄ホールで4人芝居「100」を観劇。
 福田転球をリーダーとする転球劇場という集団。
 不条理劇というより単なるお笑いに近いが
 多くの若い女性客は意味もわからぬまま大笑いしていた。
 芝居のあと有名ラーメン店「一蘭」に向かったぼくもミーハー。


4/27

◆上京
 福岡3日目はアジア美術館。
 察するに、ここにはきっと優秀な学芸員がいる。
 午後、学生たちは鹿児島に帰り、ぼくは上京。
 帰宅途中、古本屋に寄り美術関係の本を眺める。
 午前中の気分をひきずっていたからだ。
 買いたい本を見つけたが、目を離したすきに横取りされる。


4/28

◆『ザ・フェミニズム』
 上野千鶴子と小倉千加子の対談(筑摩書房、02年3月)。
 フェミニズム関係の本から最近は遠ざかっていたので
 なんだかひどくなつかしい気分になる。
 7年ほど前、ジェンダー論をやりたがる男が同僚となり
 以後そちら方面はそいつにまかせることにしたのだ。
 久しぶりに読んでみると、この分野も様子が変わっていた。
 対談のなかみには「オイオイ」と言いたくなる部分もあるが
 読者の反発を誘う点こそこの本の狙いか?
 ともかく知の触媒的な効果はあった。


4/29

◆ぼけの進行
 バーサンは食事を済ませたことも忘れるようになった。
 朝食後まもないのに「朝ご飯まだ?」という。
 また自分自身の息子も認識できなくなった。
 彼女の息子はいま閑職ゆえフラフラ遊びに来たが
 バーサンは誰が来たのか、よくわからずにいる。
 「来た人は誰?」と尋ねると「私のお兄さん」だと。
 そして、このごろはあちこちに唾を吐きまくる。
 唾を飲み込めなくなったからか。


4/30

◆単位互換?
 バーサンはデイケアセンター、ほかの者は学校に行ってて
 ぼく一人コタツで昼寝。
 奥さんは社会人入学した大学院生だが
 津田塾のほかに夜は青学でも受講する。
 (だから今日の夕食づくりはぼくが担当)。
 息子も早稲田・慶應・学習院などを受講して回る。
 東京では大学間の授業交流がほんとに盛んのようだ。


過去の記事:
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2001年---------10-11-12月
2000年---------10-11-12月
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1998年

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