2003年
 つぶやき

10/1
◆早起き
 夜明け前,あたりはまだ暗いが目を覚ます。
 ハワイ時間では昼近いから当然かな。
 いそいそと朝食の準備をしているうちに明るくなる。
 とっても健康な生活スタイルのような気がする。

10/2
◆秋来ぬと
 1ヶ月半ぶりに自転車で通勤。
 自慢のクロスバイクに空気を入れて
 人と車の影もまばらな朝7時の道を走る。
 さすがに10月。少し肌寒い。
 研究室内の,モワ〜っとした暖かさがうれしい。

10/3
◆1日4コマ
 朝,講義を1コマ。午後〜夜,ゼミ3コマ。
 木曜は1日にこれだけ割り当てられた。
 どうも人から愛されてないような気がする。

10/4
◆50万円のソファ
 学科教員を集めた飲み会を久しぶりに開く。
 2次会は,繁華街近くにある同僚宅におしかけた。
 ぼくより貧乏人のくせに,オシャレなマンションに住む。
 日中は窓から桜島が見える,という。
 部屋のまんなかに置かれた大きなソファは
 50万円と,ぼくの基準では「めちゃ高い」品だ。
 しかし,座ってみれば,すご〜く気持ちいい。
 心も体も軽くなる。
 50万円は高くない,と思わせた。
 この男は,まったく百姓とみまがう風体ながら
 じつはなかなかスマートな人物だった。

10/5
◆吉野公園
 鹿児島の Mac 愛好会の BBS(電子掲示板)を介して
 旧型のマック(9500)をもらえることになった。
 郊外の山奥(吉野台地)まで車で取りに行く。
 意外にも道に迷わず,1時間以上も早く到着。
 しかたなく近くの県立公園で時間をつぶす。
 晴天の下,広い芝生のうえに人影はまばら。
 かつて子どもたちが小さかった頃は
 たこ揚げなどのため,子連れで遊びに来たが
 ここでオヤジが一人憩う姿は絵にならない。
 緑陰読書を試みても,なんだか落ち着かない。

10/6
◆栗
 朝食の材料を買いにスーパーに行くと
 運動会用というコーナーで栗を売っていた。
 買いたい,と思ったが,調理法がわからない。
 ゆでるにせよ焼くにせよ,加熱時間がわからない。
 近くの本屋に走り,立ち読みで調べたが
 そうした素朴な調理法の紹介は見当たらず。
 で,スーパーには戻らず,そのまま帰宅した。

10/7
◆アイデアづくり
 秋から始まる一年生ゼミのテーマ
 「アイデアの作り方」の関連本を買い集めた。
 ビジネス本なので,どれも字が大きく,すぐ読める。
 しかし,ひととおり読むと,悩みが深まる。
 おもしろいアイデアは常識を超えたところにあるから
 当然おもしろさはなかなかわかってもらえない。
 おもしろいアイデアのおもしろさをわからせるには
 また別のテクニックが必要となる。
 ぼくのアイデアはたいてい「受け」が悪い。
 伝達技術の訓練不足によるところが大きい。
 アイデアより人間関係の洞察力の方が大事ってことか。

10/8
◆なめくじ
 うちの風呂場にまたナメクジがあらわれた。
 ほとんど1年ぶりだ。
 姿が見えないので絶滅したと思っていたら
 ところがどっこい,という感じだね。

10/9
◆早寝
 夜11時をすぎると眠たくてしかたがない。
 かつては,そのあたりから目がさえたものだがな〜。
 酒屋で焼酎の試飲をして,気に入った「海王」を買い
 「ロックがおすすめ」の言葉にしたがって
 グビグビやったおかげで,もう目も開けていられない。

10/10
◆鹿児島市立美術館
 学生との飲み会が響いて遅寝し,今朝は遅起。
 ならばついでに,と朝のうちに美術館に行く。
 エゲレスの彫刻家ヘンリー・ムーアの展覧会だが
 展示された彫刻作品の少なさ。(期待外れ)
 それでいて「見張り」の数が多いのは
 作品をありがたがれ!というメッセージ。

10/11
◆人の使い方
 管理職のポジション7年目。
 器ではないから,まもなく「降格」予定。
 それでもこの7年で多少は成長もした。
 人は思うように動かぬものとわかった。
 動かぬ人でも,その個性にそった使い道はあるらしいが
 その使い方はいまだに皆目わからぬ。
 したがって,けっきょく仕事は人に頼まず
 自分で引き受け,自分にできることだけやる。
 新規事業など誰からも期待されぬ職場ゆえ
 新しいことは何もしない方がむしろ喜ばれる。
 ただ「学級委員」的メンタリティの持ち主は多く
 みんなで決めたことはきちんと守れ,と叱られる。

10/12
◆田の神様(たのかんさあ)
 陽物をかたどった道祖神の鹿児島版。
 近くの青年会館で写真展と講演があったので行く。
 写真では,ディープな鹿児島の光景を楽しめたが
 「農村は民族のふるさと」と唱える講演には辟易した。
 御託を並べる道徳談義。

10/13
◆広告なら専門?
 夜間部の学生募集用リーフレットを作成中。
 よその学校ならプロの業者に外注するんだろうが
 なにしろうちは貧乏なもんで……。
 しかし,例のごとく同僚からの援助なし。
 それをよいことに好き勝手にやる。

10/14
◆おはぎ
 ダイエットに燃えていたときの名残で
 いまでもついカロリーのことを考える。
 スーパーで見かける「おはぎ」に心ひかれても
 ぐっとがまんをしてきた。
 んが(鼻濁音のつもり),とうとう
 辛抱たまらず2個入りパックを買ってしまった。

10/15
◆大学生協
 Mac の新OS(10.3 別名 Panther)は25日発売
 なので,学内の生協に注文したら
 「予約の受け付けはもう終りました」
 そして,「予約の案内はしませんでしたけどね」
 さらに,「ご自分でアップルに注文なされば」
 と,商売っ気のかけらもない返事。
 Mac といえば大学生協だった時代がなつかしい。

10/16
◆厚い布団
 明け方,寒くて目が覚め,くしゃみを連発。
 明日から学会出張なので風邪をひくと困る。
 押し入れから冬用の掛け布団をとりだす。
 おかげで心地よい二度寝を楽しみ
 つぎに目を覚ましたのは9時半。
 もう自転車じゃ授業に間に合わない。
 秋晴れの下,ミゼットで学校に向かう。

10/17
◆エッグスタンド
 「つぶやき」読者から「さしあげますよ」の声届く。
 いや〜,ありがたいが,もう買っちゃいました。
 鹿児島市内の雑貨屋で
 320円のガラス製(透明)を先週購入。
 かなり前に見つけておきながら
 あまりに安っぽいため,買わずにいたもの。

10/18
◆江坂東急イン
 伊丹空港に近いホテルである。
 隣に東急ハンズがあった。
 ぼくにとって東急ハンズは大都会の象徴だ。
 冷やかしに「エッグスタンドはありますか」と尋ねると
 「それはお取り寄せになります」の返事で白けた。
 ホテル周辺も繁華街っぽく見えるが
 鹿児島にあるのと同じチェーン店ばかり。
 パチンコ屋が多い点も共通している。
 江坂って,つまんない街じゃん。

10/19
◆ヒール役
 関西学院大学で日仏社会学会。
 今年のテーマはおもしろい。
 「フランス社会学というツールは使えるか?」
 現代社会を分析する,その切れ味が問われた。
 しかし,報告者たちはうまく答えてくれない。
 ぼくはジリジリして,最後に手を挙げてしまった。
 「フランス社会学は使いものにならないってことか」
 てなことを発言し,また人に嫌われた。
 やはり黙ってるべきだったかもね。

10/20
◆文化人指南
 「地方文化人になるコツ」を教えてもらった。
 かつて山口でテレビや講演会に出まくっていた
 という人の話によれば,コツはひとつ。
 愚にもつかぬことを語るべし。
 聴衆は「私もそう考えていたんだ」と思い
 深くうなづく――これが大事だそうだ。
 ぼくは「誰も言わないことを語るべき」と
 思っていたが,それは大きな勘違い。
 珍奇な発言は田舎では求められない。
 誰もが言いそうなことを語っていると
 役所もマスコミも喜び,お座敷がかかる。

10/21
◆ COE ( Center of Excellence )
 研究面で優秀な大学に文科省は金を出す。
 ある社会学者グループは1億9千万円もらう。
 しかし,億とかの大金,どう使うのだろうか。
 「使えば,すぐになくなっちゃいますよ」
 と,グループに属する院生は平然と言う。
 貧乏人にはそれをイメージするのもむずかしい。

10/22
◆ DQN
 ドキュンと読む。
 いわゆる「2ちゃんねる語」で「頭悪い」の意。
 「地方 DQN 私大」といった使い方をする。
 熊本に出張して,そうした私大の実情を聞いた。
 九州の夜間部設置校協議会に出て
 私大は学生の不祥事に悩まされていると知る。
 教員もさぞかし辛かろう,と同情した。
 同時に,教員の顔もけっこう DQN 化してるなと感じた。
 トイレの鏡で自分の顔をしげしげと見る。

10/23
◆マル経
 レイモン・アロン『マルクスのマルクス主義』の翻訳で
 経済学の部分を担当することになっている。
 まだ手をつけてないが気持ちの準備は始めた。
 最近出たアントニオ・ネグリの本を読んでいる。
 『マルクスを超えるマルクス』という本だが
 これがむずかしい。
 むずかしくても中身がありそうなので困る。
 思えば大学・大学院時代もマル経はむずかしかった。
 むずかしさがありがたかった。
 むずかしいことを言うやつに感心した。
 ついていけない自分を恥じた。
 このごろは,恥じらいを忘れ,開き直り
 理解できないのを相手のせいにしている。
 しかし,いま久しぶりに理解不能による困惑を覚える。

10/24
◆人心を操る
 渾沌は創造の源,という信条が災いの元。
 その姿勢では学科の経営がうまくいかない。
 小中学校の学級経営などを見習い
 管理者が剛腕をふるって秩序づけるべきか。
 情報を操作し,反目すら利用する術もある。
 不和のタネをまき,反目のエネルギーを活かして
 全体を自分の思惑どおりに方向づける術。
 見渡せば大学にもその方面で練達の士がいる。

10/25
◆唯物論研究協会
 全国大会が熊本県立大学で開かれた。
 この学会はけっこう楽しめる。
 テーマもしばしばアトラクティブだし
 大学院時代からの知り合いが多いので
 討論を聞いていると昔に戻った気分になり
 つい気楽にツッコミを入れたくなる。
 ま,加齢がもたらす「緩み」ともいえるが
 はた迷惑を省みぬフルマイを重ねた。

10/26
◆美食・暴食
 22日にも公用で熊本に行き,宴会に出た。
 23日はゼミコンパで学生に負けず大食いした。
 昨25日は学会の懇親会・二次会で牛飲馬食。
 ホテルに帰って,浴室の鏡に裸体をさらすと
 かつてのように下腹がポッコリ。
 これがいわゆるリバウンドか?

10/27
◆熊本市現代美術館
 昨年末にオープンした,すてきな美術館。
 無料だし,広い図書コーナーは利用者が多い。
 本棚の空き棚に寝ころんで本を読むガキもいる。
 使い勝手は鹿児島市立メルヘン館をはるかに凌ぐ。
 しかし,熊本の方も事大主義の臭いがプンプン。
 日本人初の MIT メディアラボ教授という石井裕の作品
 「ピンポンプラス」を使って卓球大会を催す。
 美術館での卓球大会は日本初だと自賛する。
 大会の運営は田舎風で,挨拶が長い。
 肝心の石井作品も,とんだ「お間抜け」モノ。
 卓球台に玉が落ちる音を映像化する。
 意匠はいいが,映像そのものは無芸・単調。
 ぼくを含む観客の大半は5分で飽きて退散。

10/28
◆自己開示
 内田樹『ためらいの倫理学』(角川文庫,2003)は
 笑わせながら読ませる良い本である。
 もとはホームページに書いたものらしい。
 田口ランディ,奈摘ひかるの学術版ってとこか?
 ってんで,さっそく「内田樹の研究室」を覗いてみた。
 なるほどコンテンツ満載のページだね。
 出生時から始まる「研究史」はとりわけ笑いを誘う。
 子ども時代からの写真を並べたページもある。
 おのれの臓腑までさらす覚悟というか
 鬼気迫る学者芸人魂というか。
 本を読んだときに覚えた親近感が……冷めた。

10/29
◆手作業
 夜間部の入学案内リーフレットができた。
 あちこちに送らねばならない。
 封筒づめ,宛て名書き,発送もぼくのしごと。
 管理職なれど人を動かす力も能もない。
 また,日仏社会学会年報の編集も抱える。
 人の原稿データをDTPソフトで整理するだけの
 これも頭脳をつかわぬ,単なる手作業。
 裏方がむしろ本領ゆえ,不満はありません。

10/30
◆ Panther
 Mac OS 10.3,別名 Pantherをようやく入手した。
 早めに帰宅して,i Book にインストールする。
 秋の夜長,その作業で費やした。

10/31
◆音楽家
 国立市には,かつて国立音楽大学があったせいで
 楽器の練習のできるアパートが多かった。
 東京芸大や武蔵野音大生も多く住み
 なぜかムサ美や多摩美などの美大生も群れていた。
 売れなかったころの忌野清志郎もウロウロしていた。
 そうして,ぼくにもゲージツ系の知り合いができた。
 しかし鹿児島では,その方面のつきあいがない。
 昨日突然「バイオリンの竹内です」とのメールをもらう。
 こいつは昔の仲良しだ。
 ぼくのことはWeb検索で探し当てたのだそうだ。
 ホームページ作っておいてよかったよ。
 ゲージツ系の連中に交じって遊んだ時代を
 甘美な気分とともにシミジミ思い出す。

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