つぶやき |
◆言うまでもない 学内の人事計画についてレクチャーを受ける。 人のことをきちんと考えている人がいるのだ。 話は一々もっともで、うなずいてばかりいると 「すっかり隠居気分ですね」と、これも図星。 次期の管理職の人事が話題になりかけたので あわてて「ぼくは管理職に不適」と言いかけたら 「ええ、ですから……」と言葉を継がれる。 ぼくの無能さは自明の前提らしい。 ちょっと恥ずかしかった。 |
◆立ち往生 看護専門学校へ教えに行くのが辛くなった。 大学なら、講義がつまらなければ欠席者が増える。 つまり、聞きたい人だけが残る。 看護学校は刑務所のような形態をとり 座席が決められていてエスケープ不能。 聞く気のない人を相手にしゃべるのは辛いよ〜。 半数の居眠りは前回と変わらないが 今回は残る半数が私語や「内職」に励む。 叱るのはぼくの「禁じ手」だから 受講者の気を引きつけるようなネタを並べる。 しかし、こちらに顔を向ける人の数はいっこうに増えない。 途中でむなしくなって話をやめる。 まだ1時間もたってないので帰るわけにもいかん。 |
◆孤食 大豆の水煮・トマト・タマネギを炒める。 得意料理のひとつである。 皿に移す途中、皿がテーブルから落ちた。 床に散らばった豆を半泣きで片づける。 鍋に少し残っていた分で夕食だ。 夜8時半から映画を観に行く。 米映画 "Million Dollar Baby" に出てくる人々もみな孤独。 クリント・イーストウッド演ずる老トレーナーは イェイツの詩を味わうためにゲール語を独習する。 なかなか渋いと思う。 |
◆胡麻豆腐 公民館での料理教室に行く。 第2回目のテーマは「精進料理のだしの引き方」 だしは「引く」ものだとは知らなかった。 さて、大変なのは胡麻豆腐の作り方であった。 胡麻をすり鉢ですり、水を加えて布袋で漉す。 吉野葛を混ぜ、とろ火で時間をかけて練る。 これだけで1時間を超える。 他の料理作りも同時に進行していたが 胡麻豆腐に関わっていると他を見ているヒマがない。 というわけで、今回もよく理解できぬまま終了。 時間をかけた胡麻豆腐も、食べれば一口でぺろり。 他の料理は煮染め・飛龍頭(がんもどき)・吸物。 |
◆虫のシーズン 台所ではゴミ袋のまわりを小バエが飛ぶ。 東南アジア的というか、昔なじみの光景である。 庭には雑草が生い茂る。 かつて裏の家に人が住んでいたころは草を刈った。 「蚊の発生源」との苦情が出るからだ。 いまは裏も空き家となり、荒れ放題。 雑草はむしろ侵入者を防ぐのに役立っている。 |
◆マンゴー 深夜の3時半に目が覚めた。 寝る前に変なものを食ったせいだろうか。 マンゴーの缶詰を100円という安さゆえ買った。 別に食べたいわけでもなかったんですがね。 |
◆金言 DVD でアニメ映画「イノセンス」(押井守監督)を観た。 話は小難しく、セリフも各種の引用に満ちている。 次の格言は2度も語られ、監督のお気に入りらしい。 「ロバは旅をしても馬になって帰ってくるわけではない」 あれれ、この格言は偶然にも朝読んだ本に出てたな。 山本夏彦『『室内』40年』(文春文庫)では金言扱いだ。 しかし、ぼくとしては同じ趣旨のゲーテの言葉を好む。 「人は旅に出て、結局、己の持っていた分だけ持って帰る」 これは昔、恩師から聞かされて覚えた。 海外留学しようとする弟子に向かっての言葉だ。 |
◆ひんしゅくもの 夕方、学生サークル棟の前で焼肉パーティー。 夜7時40分から講義があるんだけど参加した。 もっぱら野菜を食べようと心がけながら なぜかお肉ばかり摘んでいた。 |
◆路チュー 夜間部のゼミの後、帰宅する途中、見てしまった。 電車通りに面した駐車場でのキスシーンである。 男は普通の若者だが、女は中学生か高校生。 駐車場のまんなかで、二人は凝固していた。 先日、講義でちょうど「路チュー」の話をしたばかりだ。 「路上でチュー」の略なのだが、学生たちから叱られた。 そんな言葉は存在しないというのである。 そうか、一昔前の言葉で、もはや死語なのか。 |
◆国立大学法人 鹿児島大学で開かれた会合に出る。 大学に関わる諸問題を考えるための集まりだ。 ぼく以外はみな鹿大の教員だった。 したがって話題のほとんどがやや縁遠い。 学長選挙、予算配分、任期制、裁量労働制…… やはりまだ内向きの議論が続いている。 |
◆無頼派 本屋で白川道『病葉流れて』(幻冬舎文庫)が目にとまる。 著者紹介によれば、ぼくよりやや年長だが、同じ大学。 話自体も主人公が大学の寮に入るところから始まる。 昔の寮生活のあれこれが描かれていたので これは読まねば、とそのままレジに持って行く。 しかし、本の主人公は入学後すぐ博打の道に入ってしまう。 つまり、ぼくの思い出と重なるのは冒頭部分のみだった。 しかも、語りが説教臭いのも何だかな〜の印象。 博打をとおして普遍的なことを語ろうとするので白ける。 阿佐田哲也『麻雀放浪記』ほどの真実味も迫力もない。 |
◆無頼派(2) 吉永マサユキ『へたれ』(リトルモア)には満足した。 ある書評での絶賛につられ、ネットで注文した本だ。 大阪の下町で育った「不良」の自伝だが 文章(流れるような大阪弁)に少し惚れた。 めちゃくちゃ破天荒な不良行為の数々も いかにもあの辺じゃありそう、と思わせる。 昔読んだ稲田耕三『高校放浪記』(角川文庫)と 似たような香りもするが それはどちらも基本が「まじめ」だからだろう。 |
◆効く効く〜 家の外にナメクジ駆除剤を撒いておいた。 雑草をかきわけて、その効き具合を見に行く。 おお、ナメクジたちの累々たる屍。 道理で最近は家の中で見かけぬわけだ。 |
◆ワイハ〜 ハワイで買ったアロハシャツが自慢だ。 お上がCool Biz(軽装)を呼びかけているので ますますこれ見よがしに着用し 学内を闊歩して恥じることがない。 |
◆ WE WILL ROCK YOU 妻のことを「うちの奥さん」などと紹介する輩は 面接の場で父を「お父さん」と称する学生と同罪らしい。 言われてみればその通り、と反省した。 さて、で、愚妻(あるいは豚妻)からコンサートに誘われた。 クイーンの公演に行かないかというのである。 えっ、そのためにだけ上京するのか〜? ためらっていると即座に結論。 「わかった、じゃ、娘と行くから」 |
◆首大(くびだい)![]() 大学のマークも陰鬱なものに変わった。 首大の行く末を暗示するとの声もある。 |
◆試写会 夕方、映画館の前に長蛇の列。 試写会の招待券に当たった人々の列である。 ぼくはお金を払って「サハラ」を観たが、客はぼく一人。 |
◆公共図書館 公民館での料理教室に通うたびに図書室に寄る。 おもしろい本があれば借りるつもりだが ぐんと目をひくものが見当たらない。 『ダヴィンチ・コード』のようなベストセラーは どの公民館でも「現在貸出中」と検索機が応える。 こうして毎回手ぶらで帰る。 |
◆家族湯 朝、地元テレビの番組で「家族湯」特集を観た。 川沿いの露天風呂など、どこも楽しそうだ。 そういう風呂に入ってみたいと思う。 恥ずかしながら、永年の夢である。 家族湯は鹿児島では健全なものとされ(半信半疑) 若いカップルも平然と順番待ちしている。 んでも、ぼくの場合、じゃあ誰と行けばよいのだろう。 一人で家族湯ってのは間が抜けてる。 |
◆ハワイアン DVDで米映画「ジョー・ブラックをよろしく」を観た。 映画はしょーもなかったが エンディングで流れる音楽にはしびれた。 ウクレレの弾き語りによる "Over the Rainbow"だ。 画像を静止して歌い手の名を読み取る。 Israel Kamakawiwo'ole というハワイ人だった。 ネットで調べたら、けっこう有名人だがすでに故人。 ものの弾みで彼のCD"Facing Future"を注文してしまった。 ハワイアンは好みじゃなかったんですがね。 |
◆エロおやじ? 基礎ゼミの学生(1年生)から厳しい批判。 ぼくが別の授業で提出させたレポートに書かれていた。 学生はぼくが下ネタに話をふる点を非難する。 基礎ゼミが発想力の訓練の場であることは学生も承知し あえて「変なこと」を考える必要性は理解しているが 「それにしても」というのである。 その頻度が過剰と判断された。 たしかに、不快がらせるのも狙いの一つではあったが Too much と指摘され、しばしうなだれる。 |
◆泣きのツボ 韓国映画「僕の彼女を紹介します」(04)を薦められた。 薦めた学生は「感動して泣きじゃくった」んだそうだ。 同じ女優の「猟奇的な彼女」(01)なら観たことがあるけど 学生を泣きじゃくらせる映画とはどんなものか。 ところが、とんでもなく頭の悪そうな作品だった。 それでも多くの若者はこういう映画で泣くらしい。 そういう意味では勉強になりました。 |
◆永盛温泉 山奥の看護専門学校に行ったついでに さらに奥地の温泉を訪ねてみた。 農家のおやじが自宅を銭湯に改造したような温泉。 素人大工っぽい作りだ。 あぜ道の突き当たり、誰も来なさそうな場所なのに先客あり。 田舎なら客同士で挨拶するのが礼儀のはずだが この先客(ジーサン)は知らん顔している。 都会の風はこういうところにまで吹いてきたか。 |
◆深夜バス 1時間に1本とはいえ深夜もバスが走るようになった。 鹿児島市の都会化の証である。 雨の日、自転車に乗れない日でも繁華街に行ける。 普通の大人ならタクシーで帰るんだろうが ぼくの場合、その1200円が痛くてしょうがない。 深夜バスのコースは特別で、バス停は家から少し遠い。 でも、バスで帰れるのが嬉しい。 |
◆来街者調査 鹿児島市の西の山中にある西郷団地に行く。 一戸建て住宅が建ち並ぶ大団地である。 ゼミの学生たちがショッピングセンター前に立ち 通行人に聞き取り調査している。 ぼくはその光景をデジカメで撮るだけ。 |
◆恥じらい 繁華街に醤油ラーメンの店が新規開店したと タウン誌で知り、夜フラフラと行ってみた。 店員に「雑誌で見た」といえば半熟卵がつく。 店内にいる客は若い女性が多い。 だもんで、この無料サービスは大声では頼みにくい。 小声で頼んだら店員も小声で返事。 (→まるで落語の「うどん屋」) |
◆ラ・クカラーチャ 丸々太った大きなゴキブリと出会う。 小金持ちが住む隣のマンションで育ったのだろう。 殺虫剤を噴射しながら追い回してしとめる。 ゴキブリを笑って見逃せないのが日本人? |
◆洗濯機を回しながら 早起きしたついでに洗濯をすましちゃおう。 朝7時、すでに室温は高く、座っていても汗が出る。 鹿児島に暮らしながら、いまだにエアコンを持たぬ。 おかげさまで毎年、夏は夏らしく過ごしとります。 |
◆カルチャー三昧 うちの学校の図書館で本を借りるのが「マイ・ブーム」。 始まりはダーントン『禁じられたベストセラー』からだ。 通りがかりに新着コーナーで見かけ、手にとった。 フランス革命直前の出版事情の研究であるが 地道な研究と軽妙な語り口の融合に感心する。 以後、岩波の「グーテンベルクの森」シリーズを渉猟。 わが国の知識人たちの読書遍歴自慢話である。 南アフリカの文学、クッツェー『恥辱』も楽しんだ。 教え子に手を出し、転落する大学教員の物語だ。 いまは坪内祐三『文庫本福袋』から刺激を受けている。 紹介されている文庫本をどれも読みたくなる。 軽チャーの世界にどんどんハマっていく。 |
◆終わりの始まり うちの学校も自己点検作業を進めている。 先日、その報告書の一部と学長のメモが教員に示された。 教員たちに危機意識がないのが最大の課題らしい。 すでに学園は滅亡の過程に入っているのに ほとんどの教員は脳天気なまま……。 あ、これはぼく独自の恣意的な要約。 メモの陰鬱なトーン、ぼくはけっこう好きだな。 |
過去の記事 |