2005年
 つぶやき

10/1
◆カードの解約
 以下の2点によりANAカードから退会した。
 1)マイレージを集中するためJALしか乗らない。
 2)家族カードで奥さんが買い物をしている。
 ANAに電話したら、退会の用紙を郵送するという。
 けっこう手続きがめんどうだ。
 一方、提携クレジットカードの解約は簡単だった。
 音声案内でプッシュボタンを押すだけ。
 あまりにのあっけなさに何だか物足りない。

10/2
◆収納バッグ
 93年水害の避難生活の名残で研究室に寝具がある。
 いや、単に毛布2枚と竹製の枕だけなのだが
 それらは部屋の隅に丸めて放置してある。
 これを大きなバッグに収納する考えがわいた。
 フランスの低級衣料店 Tati のビニールバッグは
 貧乏人の必携品だったのを思い出す。
 あれと似たようなのを探そう。
 と、土曜日の午後、大型店をうろついたが見つからず。

10/3
◆うたた寝
 9月末〆切の論文執筆にようやくとりかかる。
 思ったよりも進んだので昼過ぎに銭湯へ行く。
 付属のレストランで昼食をとる。
 セルフサービスのご飯を山盛りにする貧乏人。
 秋空の雲を眺めつつ露天風呂を楽しむ。
 4時頃、研究室にもどったが
 なんだか疲れて、イスに座ったまま眠る。
 ふと目を覚ませば窓の外は闇。

10/4
◆秋田
 10月末、秋田で開かれる学会に出ようと思う。
 しかし、鹿児島から秋田は遠い。
 自弁で行くのだから「もと」をとりたいが
 その「もと」の内容は自分でもイマイチつかめぬ。
 酒好きでも食通でもないしな〜。
 見たい場所、行きたいところがあるわけでもない。
 肝心の学会の方も発表論題はどれも難解だ。

10/5
◆生活臭
 このところ昼夜2食を弁当ですましている。
 弁当屋やスーパーで買うのだが
 おかげで研究室には空のポリ皿がたまる。
 ホームレスの段ボールハウスと同じ臭いがする。
 部屋主の風体もそれっぽくなる。

10/6
◆ポトフ
 だいぶん飽きてきたが男の料理教室に通っている。
 先生は毎回のように変わる。
 栄養士でも調理師でもなく、ふつうのおばさん。
 昔の家政科を出た「生活改良普及員」かな。
 栄養士なら手洗い励行など衛生にうるさいはずだし
 調理師なら調理の手順・手際がよいはずだ。
 生徒(ジーサン4人)の方が上手だったりする。
 一人が献立の「ポトフ」の意味を質問した。
 先生は「意味は知りませんが、具沢山の汁物です」という。
 すると別のジーサンが「昔ならなぐられますよ」と
 戦争中、横文字は禁止だった話を長々と語り出す。
 老人会のムードが高まる。

10/7
◆根性
 明け方5時半に目が覚めてしまった。
 頭の芯が痛いような気がする。
 これが激痛で吐き気を伴えば「くも膜下出血」だが
 ま、それほどの痛みではない。
 寝る前に飲んだ安ワインのせいかもしれない。
 コンビニで買った6百円の酒だぜ。
 いい齢なんだからもう少し高いのを買えよ。

10/8
◆手配師
 学生たちに「まちなか」での活動を励ましている。
 イベントを企て、実行するのも勉強だ。
 商工会議所にも学生を出向かせた。
 おかげで「天文館エスコーターズ」の仕事が来た。
 これは繁華街でオープンカフェを開き
 その周辺を清掃したり、道案内をする仕事だ。
 週に4日、そのつど2〜3人を必要とする。
 その手配(人集め)はなぜかぼくの仕事。

10/9
◆もらい事故
 息子の友人(25才のプー)が死んだ。
 学童保育からだから、旧い知り合いだ。
 7日、首都高速で交通違反のキップをきられ
 警官と並んで路側帯に立っていたとき
 その警官ともども、暴走トラックにはねられた。
 人間、死ぬときゃ死ぬ、とはいうものの
 もらい事故で殺されるのは理不尽すぎる。

10/10
◆手書き
 あるエッセイ本で筆記用具の話を読んだ。
 そうだ、ぼくもすてきな万年筆をもってるぞ。
 んで急に、誰かにお手紙でも書きたくなる。
 しかし、手紙用の紙などは手元にない。
 PCプリント用紙(A4)じゃ何だかねぇ。

10/11
◆惻隠の情
 買い物の帰り、市内の中央公園で一休み。
 本屋で買った本を開き、焼き芋をかじる。
 スケボーに乗ったガキどもが目の前を行き来する。
 小学校低学年のジャリなども混じってる。
 小学生は今にもこけて後頭部を打ちそうだ。
 そっちに気をとられ、心穏やかに本も読めない。

10/12
◆ not A but B
 講義の受講者は多くても30〜40人だ。
 小さい学校ですからね。
 それでも、トンチンカンな学生が必ずいる。
 「○○ではなく▲▲」と語っても
 学生はレポートに「先生は○○だというが」などと書く。
 そうじゃ〜なくて!と、くどく語ってもこうだ。
 恐ろしいことに、話は逆になって伝わっていく。

10/13
◆軽んじられる
 商工会議所が企てる「天文館エスコーターズ」事業のため
 ぼくは学生を集めるのに協力し、いささか苦労した。
 その名簿をEメールで担当者に送る。
 しかし、あちらからは「受けとりました」の返事もない。
 予め電話したが、そのときも謝辞などなし。
 要するに、軽んじられている。
 こちらが腰を低くしてアプローチすれば
 あちらは当然のように頭を高くする。
 逆に、「偉い人」には阿諛追従(あゆついしょう)。
 土地の者によれば、それが薩摩の気風だと。

10/14
◆老後
 人に愛されて暮らしたいと思っても
 ぼくにとってそれは至難のわざ。
 嫌われ者キャラのまま、それに磨きをかけよう。
 たとえば、公共図書館の常連になり
 騒ぐガキを叱ったり、女性客に余計な助言をしたり。

10/15
◆無芸
 テレビでインドネシアの家庭料理を紹介していた。
 う〜む、老後は南の国で暮らすのもいいな。
 JICA の海外シニア協力隊に入ろうか。
 と思ったが、さて、ぼくに何ができる?
 自分には何の技も芸もないことに気づく。

10/16
◆同病
 うちの学長は皮肉屋で、人の痛点をつく。
 だから嫌う人も多いが、ぼくは好きだな。
 学長の悪口をいう集まりでは居心地が悪い。
 が、そこで気炎をあげる人々にもぼくは敬服する。
 彼らの関心は、まず学内の人事と人間関係にあり
 つぎに現行のシステムの円滑な運営にある。
 それって中間管理職の心得そのものだね。
 ぼくのもっとも不得意とする分野。

10/17
◆ろうそく
 100円ショップに仏具コーナーがあった。
 仏具を見ると父を思い出す。
 ついでに、昔住んでいた家の間取りなども……。
 仏壇のろうそくに火をともす小学生のぼく。
 と、一挙にノスタルジーにおそわれ
 その勢いでろうそくを買ってしまった。
 停電時に備えて、と自分には言い聞かせる。

10/18
◆野球
 恥ずかしながら、ちょっとホークスのファンです。
 福岡県の出身だから、とエクスキューズ。
 いまや落ち目の野球で、しかもパリーグだと
 プレーオフの最終戦でもテレビじゃ放送されない。
 で、久しぶりに中波(AM)ラジオをつけた。
 部屋の空気もすっかり昭和だ。

10/19
◆高校まわり
 受験生を確保するため市内の高校をまわる。
 鹿児島ではまだ短大の需要が高いから
 昼間部にはそこそこ「客」がくる。
 一方、夜間部は定員割れの危険水域にある。
 そこで、夜間部の教員たちは行脚を始めた。
 昨年からだが、それなりに効果はあるみたい。

10/20
◆ロールキャベツ
 男の料理教室、最終回の献立である。
 ぼくは田舎者ゆえ、大学生になって初めて食べた料理だ。
 女の子とデイトして、新宿で食べた。
 そのときぼくは上手に食べられず、あせったよ。
 料理教室ではジーサン同士、早食いが標準で
 大きいのをお箸につまみ、二口で食べた。

10/21
◆専門書
 鹿児島から秋田に行くのに飛行機を乗り継ぐ。
 ちょっとした長旅ゆえ厚めの書物を携えた。
 んが、本を開く気が起きぬ。
 ずっと眠ってばかりで時間を過ごす。
 それでも羽田空港では本屋に立ち寄った。
 文庫本だと読みたくなっちゃうんだな、これが。

10/22
◆秋田の映画館
 金曜の夜、英映画の佳作「ヴェラ・ドレイク」を観た。
 秋田でマイナー系の作品が観られてうれしい。
 つぶれかけた映画館を週末の3日間だけ開いている。
 来週は「ラヴェンダーの咲く庭で」をやる。
 その後も「Dear フランキー」「メトロで恋して」と続く。
 客同士「来週またね〜」とか挨拶している。
 また、22〜23日(土日)は市民ホールで国際映画祭。
 イランの「亀も空を飛ぶ」やギリシャの「タッチ・オブ・スパイス」
 こういうの、鹿児島で観たいな。

[後記:23日付]
 秋田駅のビル内にあるシネプレックスは休館中。
 10月中旬、突然閉鎖され、ファンは憤っているという。
 秋田市内ではメジャー系の映画は観られないのである。

◆泣き寝入り
 秋田の繁華街で、開店初日の「あっぱれ寿司」に入る。
 全品一貫130円の「安心明朗会計」が売りだ。
 ぼくはお得な980円のセットを注文したのに1340円請求された。
 内訳を聞くと「お通し」の値段が含まれているんだと。
 店頭で配布していたチラシにはそんな記載なし。


10/23
◆平野政吉美術館
 秋田県立美術館に隣接するが、こちらの方が上等。
 藤田嗣次の作品を百数点所蔵する。
 あまり期待せずに訪問し、思いがけぬ眼福。

◆菅江真澄
 江戸時代の後期、三河に生まれた旅行家。
 和歌と本草学に通じ、旅先(東北)で歓迎された。
 48才から76才で死ぬまでは秋田に定住する。
 その間、秋田の自然や風物を絵付きで記録した。
 ヨソモノゆえ、おもしろがって記録したのだ。
 いまではそれが貴重な民俗資料となっている。
 田舎で生きる知識人のひとつの模範である。
 ぼくは何を「武器」に鹿児島で生きているのだろう。
 菅江真澄を鏡に我が身をふりかえる。
 秋田市からバスで40分の県立博物館に行き
 菅江真澄資料センターで「勉強」の意味を考えた。


10/24
◆市内観光バス
 朝9時から、ガイドつきで3時間2千円。
 ガイドはボランティアの老人(男女)だ。
 話がのろいので、説明が場所とシンクロしない。
 「いま通り過ぎましたが……」と説明が始まる。
 しかも、それが妙にくどい

◆むのたけじ
 反骨のジャーナリスト(90才)の講演を聴く。
 聴衆はみなその声の大きさに圧倒された。
 1時間半、テンションは一貫して高いまま。
 公憤の持続は彼の「生きる形」でもある。


10/25
◆学会出席の効用
 人の発表を聴くと、愉快かつ元気になる。
 発表者は自分がおもしろいと思うことを
 おもしろそうに語るからである。
 これは最近の傾向だな〜。
 ぼくが20代、30代のころは逆だった。
 陰鬱さとまじめさが評価された。
 若手研究者には「砂をかむような」営みが求められた。
 (↑このカッコ部分は平田清明氏の言葉)
 もちろん本当に優秀なやつはそれでも頭角を現す。
 しかし、その他大勢にとっては不毛な苦行だった。
 どうせ不毛なら言いたい放題の方が健康に良い。
 いまはそれを許す流れに変わった。
 遅ればせながらぼくもそれに乗ろうとしている。

10/26
◆スペアキー
 学園祭用に中華鍋やバット vat を学生に貸す。
 荷物を運ぶために車のハッチバックを開け
 荷物の上に車のキーをのせたまま閉めた。
 バッグも財布もすべて車の中だ。
 金持ちだったらJAFに救援を仰ぐんだろうな。
 あいにくこちらはマインドが貧乏だし
 そもそも電話するための小銭もない。
 ぱらつく小雨をついてチャリで学校に向かう。
 研究室に置いてある車のスペアキーを手にして
 片道6キロの道をまた走って戻る。

10/27
◆物音
 深夜、玄関あたりで怪しい音がする。
 テレビの音量を下げ、身構える。
 家の中にすでに何者かがいる。
 ひえ〜っ、どうしよう。
 と思ったら、でっかい蛾が部屋に飛び込んできた。
 一体どこからわいてきたのだろう?
 殺虫剤を噴霧しまくって退治した。
 はい、昔から虫が苦手な臆病者です。

10/28
◆幽玄ってか
 見上げれば、もやがかった冴えぬ青空である。
 秋田市立の千秋美術館が常設する
 岡田謙三の作品群を思い出してしまった。
 特にニューヨークに移って以降の作品群。
 ユーゲニズム(幽玄主義)と自称するのも
 トホホの感じだが、作品自体も恥ずかしい。
 異国趣味の西洋人におもねる、こけおどし。
 幽玄を謳うなら坂本繁二郎の方がまだ上品だ。

10/29
◆ Untergang(崩壊)
 定年退職した元同僚に強く薦められ
 独映画「ヒトラー 最後の12日間」を観た。
 午前の部だが、上映時間 150分と長いので
 焼き芋2本と菓子パンを映画館内で食す。
 観客は高齢者ばかり約20名。
 いつになく大入りで、なんとなくうれしい。

10/30
◆巣窟
 上京したら家族は全員風邪にやられていた。
 ぼくはそれに巻き込まれるために帰宅した形。

10/31
◆電動アシスト自転車
 ネット通販で注文したのが届いた。
 奥さんの通勤用である。
 勤める中学校(国分寺市)は坂の上なのだ。
 いまバーサンが入院している病院(立川市)へも
 帰路立ち寄るので、毎日かなりの距離を走る。
 サンヨー製は両輪駆動だがら、外観にも迫力がある。

過去の記事
1998年
1999年
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2001年---------10-11-12
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2004年---------10-11-12
2005年--------

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