2010年
 つぶやき

6/1
◆ブザンソン便り
 というブログを見つけ,しばし読みふける。
 フランスの田舎町で過ごした日々を思い出す。
 一日一日を力いっぱい生きてたなあ。
 肝心の「研究」成果はほとんどゼロだけど
 そんな成果は誰も求めたりしない幸せな時代だった。

6/2
◆空振り
 授業の日のみ学校に行くのが最近のポリシー。
 んで,張り切って教室に向かえば中は空っぽ。
 開学記念日で全学休講の日でした。

6/3
◆外食
 まちなかで暮らしているが毎日行きたい食堂は見つからぬ。
 だから昼も夜も弁当を買い,家で済ませてる。
 だから終日声を発する機会がない日も多い。
 そして,それが存外平気なのである。
 年の功というべきか。

6/4
◆製造失敗
 八百屋でズッキーニが安かったので買う。(一本100円)
 パプリカやセロリなども買って,ラタトゥイユを作る。
 時間短縮のため圧力鍋を使ったのが間違い。
 全部クタクタ,というかドロドロになった。
 悔しいので,クスクス粒を投入し,ガシガシ食べた。

◆ 17万アクセス
 こんどは6ヶ月弱で1万。


6/5
◆貧乏人の贅沢
 乗っている自転車は中途半端に「高級」。
 1万円ほどの格安品でもなく 10万以上の高級車でもない。
 あちこちの微妙な部分で不満がある。
 例えば……,いや,説明すると長くなる。
 より高級なのに買い換えれば不満は解消するのか?
 無間地獄に陥る予感がするので我慢する。

6/6
◆お約束
 学内で酒肴の持ち寄りパーティーを開いた。
 参加者10名ほどでバカ話に興ずる。
 その場にいない人の悪口で盛り上がる。

6/7
◆観劇
 市電の車内を舞台とする芝居を観に行く。
 約1時間,走る電車に揺られながらの観劇だ。
 原爆投下の日,広島市電にわれわれも乗っているという見立て。
 芝居を観るのが上手な人はちゃんと没入してる。
 ああいうのは楽しんだ者が勝ちだね。

6/8
◆微熱老人
 本棚などを運ぶ作業をして汗をかく。
 汗臭いオヤジってのは女性に嫌われるなあ
 と無意味なことを考えながら,そのままうたた寝。
 目が覚めると,何だか体調がおかしい。
 あわてて風邪薬を飲む。

6/9
◆つながる
 ケータイ依存症といった現象について基礎ゼミで議論する。
 時事問題としては古いテーマかもしれん。
 しかし,自慢じゃないが,ぼくはケータイとやや無縁。
 そのありがたみもよくわかっていない。
 誰かと常時つながっている感覚はありがたいか?
 と聞いたら,男子学生いわく「先生,友達いないの?」

6/10
◆審査
 映画サークルとしてSOHO(市役所別館)への入居を狙う。
 8人の審査委員を前にプレゼンをする。
 収益事業の計画を述べ,事業の安定性を訴える。
 委員の何人かが失笑している。
 どうやらぼくの説明はずいぶんお粗末らしい。
 かつてはぼくも向こう側(審査する側)にいたんだ。
 審査される側に回って初めて自分の「実力」を知る。

6/11
◆隣の騒音
 猫の鳴き声は止んだが,夜中に別の物音がする。
 階下の住民が水道の蛇口をひねるような音を出す。
 キュッキュッといった高い音だ。
 これを避けるために寝室をチェンジする。
 窓のない奥の部屋にベッドを移動した。
 するとそこは朝7時ごろ騒音がする。
 隣り合う大家が何かの電気製品を使っている。
 ゴーッという低い音が20分ほど断続する。
 交渉するのも面倒くさいので,こっちも早起きになるか。

6/12
◆テレビ
 1990年製の小さな 14inch テレビを使ってる。
 廃棄物を拾ったもので,チャンネルは変えられない。
 だから工夫して,VHSビデオデッキにつなぎ
 このデッキのチューナー部分を利用してる。
 しかし,サッカーのワールドカップが始まった。
 ボールの動きが見えるようなテレビがほしい。

6/13
◆ためらい
 マルヤ(旧鹿児島三越)の4階に古本コーナーがある。
 3冊持ち込んだら1冊もらえるシステムだ。
 こっちの古本を整理する好機だと思い
 どれにしようかなと自分の本棚を眺める。
 捨ててもいいような本ばかりなのに
 なぜか,なかなかピックアップできない。

6/14
◆風狂
 黒雲の下,強風の中を歩くと心が弾む。
 すぐ近くの県立図書館に入って遊ぶ。
 新刊コーナーで楽しみ,思想書コーナーでベンキョーする。
 もう友だちなんかいなくても大丈夫な気がする。

6/15
◆ワールドカップ(南ア)
 うちのテレビはアナログ放送専門なので
 全試合を観戦するわけにはいかない。
 だが見られる試合だけでもけっこう忙しい。
 夜中にひとりで拍手して盛り上がっている。

6/16
◆言うことを聞く・聞かせる
 夜間部の基礎ゼミで「支配・服従」の関係を議論する。
 流れで「DV」=家庭内暴力の話になる。
 興味深いのは,ぼくを含め誰も身近に経験者がいないこと。
 そういう事件があるという情報は知っているが
 じっさいに被害にあった人は身近にいない。
 われわれだけがおめでたいのだろうか。

6/17
◆体罰
 小学生のころは先生によく叩かれた。
 木の三角定規で叩かれ,廊下にも立たされた。
 中学に入ったら,いわゆるビンタを張られた。
 よほど騒がしく,目障りなガキだったのだろう。
 そのときは理不尽な気がしたが,いまは多少先生に同情する。

6/18
◆ Cozy room
 板張りの部屋からベッドをどかし,机を置いた。
 この机,廃物利用だが,しっくりはまってる。
 ハイバックチェアも雰囲気にぴったり。
 そうそう,こういう部屋がほしかったんだ。
 もう外に出て行く気がしないよ。

6/19
◆愛校心
 学校への帰属感がだいぶん薄れてきた。
 いまは赴任当時の気分に似ている。
 つまり,ぐるっと一回りして元に戻った感じ。
 だから,学内の会議で発言する気力もない。
 とはいえ,ものの弾みでたまに熱弁をふるったりする。
 これも我に帰ると恥ずかしい。

6/20
◆歴史的一戦
 ワールドカップの日本対オランダ戦を観たいが
 家のテレビは小さくて,映りも悪い。
 せめてボールの動きがわかるといいな。

6/21
◆SOHO入居決定
 危ういとも思われていたがOKだった。
 競争相手がよほどショボかったんだろう。
 場所はいま住んでるアパートのすぐ近く。
 エアコンがついてて高速LANが走ってるから
 居心地がよければ常駐しようかとも思う。

6/22
◆翻訳
 プルードンの名著『所有とは何か』の翻訳をしてきた。
 出版されるアテがあったからだ。
 第一章のみ訳出して編集部に渡したのが5月。
 ぜんぜん正式の依頼が来ないと思ったら
 電話で企画の頓挫を告げられた。
 良い訳文ですけどね,のお追従もむなしい。

6/23
◆パッピンス
 学内で開かれる夏祭りにゼミとして店を出す計画。
 かき氷なら大儲けできそうだと思われた。
 が,それはすでに別の「店」が登録済みだ。
 ならば,韓国風かき氷の店にしよう。
 学生は誰一人パッピンスを食べたことがないが
 ネットで画像を見て,イメージをつかんだ。

6/24
◆エコポイント
 春先の買い物代金の一部払い戻しを得る。
 図書カード1万円分と,鹿児島市営バスの乗車賃1万円分だ。
 バスの乗車カードの「積み増し」をする。
 いままではチマチマと千円ずつだったので
 急にお大尽になった気分。

6/25
◆翻訳(続)
 出版社の方から新たな提案があった。
 マルサス『人口論』はどうですか? というのである。
 弱ったな。
 あれは永井義雄先生の訳が中公文庫に入っている。
 永井先生には昔お世話になったし
 しかも,学会的にはぼくはいわば「専門外」の人間だ。
 専門外だから逆に良い,と言ってもねえ。

6/26
◆のんかた
 「飲み方」の鹿児島弁で,意味は「飲み会」。
 飲んで騒げばハッピー,ってのがいいね。
 そういう屈託のなさが日常にもあればいいが。

6/27
◆裏店(うらだな)
 玄関先の廊下の蛍光灯が切れそうだ。
 チカチカと点滅し,廊下は暗い。
 いかにも貧乏アパートの風情たっぷり。

6/28
◆梅雨時
 過去,鹿児島で住んできた一軒家,二箇所では
 この時期,あちこちにカビが生え,なめくじが出た。
 いま住んでるアパートではそれがない。
 ただ窓に「ひさし」がなく,雨が降り込む。
 窓を閉めれば,当然ながら蒸し暑い。
 エアコンなしで,もう何十年も暮らしてます。
 雨上がりに開けた窓から入る涼風のありがたさ。

6/29
◆蟄居
 豪雨にそなえて食料を少し買いためておいた。
 それを処理する必要もある。
 んで,試みに一歩も外に出ない日を過ごす。
 存外苦もなくできちゃいました。

6/30
◆業界裏話
 小谷野敦『日本文化論のインチキ』(幻冬舎新書,5月刊)と
 四方田犬彦『先生とわたし』(新潮文庫,7月刊)を
 本屋の新刊コーナーで見つけ,立て続けに読む。
 学問世界で名前の知られた人々の悪口やら
 つるみあいや反発などが語られている。
 廃刊された雑誌『噂の真相』のハイブラウ版。

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