2024年
 つぶやき

4/1
◆ 図書室閉鎖
 エアコン修理工事のため近くの図書館分室は1ヶ月利用できない。
 中央図書館を利用するしかないが、ちょっと大変。
 二年ほどまえなら、このくらいの面倒、なんてことなかったんだけど。

4/2
◆ 『老いの空白』
 鷲田清一著の岩波現代文庫(2015)である。
 図書館から借りたけど、あまりにも心に突き刺さるので購入しました。
 鷲田さんは難しいことをちゃんと難しくも語れます。

4/3
◆ 革靴
 ぼくも「ちゃんとした靴」を持っていることは持っている。
 しかし、考えてみるともう何年も履いたことがない。
 履く機会というか、履かねばならない場面がもうないからである。

4/4
◆ 礼服
 ぼくは喪服というものを持ったことがない。
 なんとなく黒っぽい服を着て「ごまかして」きた。
 誰も注意しないのをいいことに、礼儀知らずで通してきた。
 いまは「黒っぽい服」はもちろん「背広」すら持っていない。

4/5
◆ 呆け
 しゃべろうとしても舌が回らないだけでなく
 頭も回らず、しゃべるに値することばも出てこない。
 でも、ぼくのバカっぽさを察するぐらいには賢い。

4/6
◆ 三線
 沖縄の楽器だが、4年前に教室に通って少し弾けるようになった。
 だから、いちおう楽器は手元にあるので、3年ぶりに引っ張り出した。
 ところが、技は少しも身についておらず、指も動かない。

4/7
◆ 平気で生きている
 ぼくはこの家の誰からも愛されていない。
 早く死んじゃえばいいのに、という目つきで見られている。
 長崎にいる友人も似たようなことを言ってた。
 家族から汚いものを見るような眼差しを向けられるらしい。

4/8
◆ 指笛
 もう人生で何度目だろう、音を出す練習をしてみる。
 Youtube で、いろんな人の解説を聞きながらトライするが、成功せず。
 この技ができれば、災害時に救助を呼び寄せられる、という。

4/9
◆ 体が硬い
 体が曲がらず、靴下をスムーズに履けない。
 気候が暖かくなったので、靴下なしで過ごす。
 じつは、常用のものは穴が開いたままだから捨てよう。

4/10
◆ 人徳
 ぼくはひとに信頼されるタイプではない。
 悩みをうちあけられたりしないのは、底がみえてるからだ。
 ぼくに話し相手ができないのも、そういうこと。

4/11
◆ 市立図書館
 分室が閉鎖中なので中央図書館に行く。
 定年退職後はここで楽しく過ごそうと思っていた場所だ。
 じっさいは、各地の公立図書館のなかでもこの町はとりわけ貧弱。
 それでも図書館員があれこれ工夫していることはよくわかる。

4/12
◆ 南インド料理
 ご近所に、つまり住宅地のなかに新しいカレー屋ができた。
 この町にあるカレー屋は、どこもインド・ネパール系。
 つまり、微妙なちがいを楽しめる。
 つぶれずにがんばってほしいな。

4/13
◆ よろよろ歩き
 霊園の使用料を払いに、すぐそこの郵便局まで歩いていく。
 このごろはだいぶんへたばっているのだが、あえて杖なしで歩く。
 足があがらないので、靴底をズルズル鳴らしながら歩く。

4/14
◆「按摩と女」
 戦前(1938年)の映画で、現代では使えないことばにあふれる。
 清水宏監督の傑作だが、U-next によって、ようやく鑑賞することができた。
 ありがたいもんだね。

4/15
◆ メールのやりとり
 間隔がだんだん開いて、ついには沙汰がなくなる。
 死んだと察してあげるべきだろうか。

4/16
◆ 橋人皆漕
 米映画「Boys in the Boat」(2024)はボート競技エイトの物語。
 映画をみて思い出した。
 ぼくも昔、大学1年の夏、ボート部の合宿所に泊まってボートを漕いだんだ。
 ボートをちょっと漕げば体育の単位がもらえたから。
 そういう大学の「風習」いまでもあるのかしら。

4/17
◆ 緊急入院
 朝、嘔吐。
 そればかりでなく体力も低下。
 いつも利用してる病院に入院させてもらう。

4/18
◆ 腸閉塞
 この病名による入院は3度目だ。
 この病院は、看護師がみんな親切丁寧なので気に入ってる。
 その柔らかい暖かさにふれると泣きたくなる。(すっかり心が弱っている)

4/19
◆ 紙オムツ
 装着してると便利だなあと思えたりするが
 これに慣れちゃいけないんだとも思う。

4/20
◆ 絶食
 何も食べずにいるが、食欲もあまりない。
 でも、さすがにいまは食欲のようなものを覚える。
 実感というよりは観念

4/21
◆ アップロード
 病室でこの「つぶやき」を更新しようとして苦労する。
 その道具として使うFTPソフトがうまく動かない。
 こんな作業、かつて(在職中)は苦もなくやってたのに。

4/22
◆ キーボード
 退職記念にMacBook Pro を買ったが、ちょっと節約したのがまずかった。
 ほんとうに欲しいUS配列のものは量販店では買えないのだ。
 JIS配列でもそのうち慣れるさ、と思ったんですがね。
 入院したときには、これを使わざるをえず、ミス連発でイライラ。

4/23
◆ 病人の介護
 昔は家族が病室に寝泊まりして世話してたなあ。
 ぼくも父親にしてもらった。
 そういう時代があったよなあ。としみじみ。

4/24
◆ 食事再開
 五日間の絶食のあとだけに、お粥でもうまい。
 退院するとき、家に誰もいないので、外食は何にしようか
 ワクワクしながら思案する。

4/25
◆ デイルーム
 休憩室の本棚には漫画やミステリーの文庫が並ぶ。
 ぼくはミステリーは1冊手にとって読んだが、漫画は読まず。
 どれも長編もので、めんどくさいから。(ほんとに年取ったなと思う)

4/26
◆ 景色
 5階の病室から西の方の山並みがよく見える。
 窓から山が見えると、元気がもらえたような気がする。
 大学受験生のころも、しょぼい山だが、それを見てだいぶん慰められたよ。

4/27
◆ 話し上手
 同室のおじさん、カーテン越しで顔は一度も見たことがないけど
 話がとても上手らしく看護師の若い女性の足を止めさせる。
 ひたすらうらやましい。
 ぼくはけっこう努力したけど、ああいう技はまったく身につかなかった。

4/28
◆ 白玉ぜんざい
 退院祝いに「味の民芸」に寄って「すきやきうどん定食」。
 おまけに頼んだ300円のデザート、そのほどよい甘味に心もとろけそう。

4/29
◆ 市立図書館に行く
 自転車に乗る練習を兼ねて、中央図書館に行く。(近くの分室はまだ使えない)
 自転車走行、やはり多少ふらつくが、いちおうヘルメットかぶってる。
 こういう老人のうろつきははた迷惑なんでしょうが。

4/30
◆ 胸が苦しい
 ドイツ映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」(2018)を観た。
 1956年、ハンガリーの民衆蜂起に共感する東ドイツの学生たち。
 かれらを執拗に追い詰める体制側の役人たち。
 ぼくはもう若い頃と違って、自分を学生たちの側に置くことができない。

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