2024年
 つぶやき

8/1
◆ 記憶力
 こんなぼくにも「近々会いましょう」と言ってくれる女友だちがいる。
 ところが、彼女の顔が思い出せない。
 会えば絶対にわかる自信はあるのだが
 頭の中で思い描こうとするとその顔かたちはぼんやりしたまま。

8/2
◆ 孤独なリハビリ
 病院で指導された体の動かし方をマネしてみる。
 たとえば「カーフレイズ」Calf Raise =かかと立ちのくりかえし。
 これはひたすら地味なので、人が見てないとすぐにあきちゃう。

8/3
◆ 浅き夢見し
 明け方、夢の中のぼくはどこかの映画館に向かってスタスタ歩く。
 地面をしっかり踏みしめているのを足の裏で感じながら。

8/4
◆ 若松英輔
 かれの自伝のような随筆『藍色の福音』を読んだ。
 ほんとうは、ゆっくりじっくり読むべき本だとは思うが
 やっぱり、すぐに読んじゃった。

8/5
◆ 植村邦彦
 知り合いと名乗るのも恥ずかしいが、かれはほんとうによくできる。
 2011年に出た平凡社新書『市民社会とは何か』は、中国でも翻訳されて評判を呼んだ。
 かれから近著「敗北後の思想」(2024年8月)をいただいた。
 その本の腰巻の文句が泣かせる。
 「なぜ私たちは自らを苦しめる権力を支持するのか?」

8/6
◆ 体調いいのか?悪いのか?
 朝(8時)まで一度も目を覚まさず。
 それはここ数年なかったことだ。
 しかし、夕方、散歩を試みると、足は昨日より重く
 体はますます不自由になる。

8/7
◆ ハワイ土産
 学生の夏季研修の引率で、20年前に10日間ほど滞在した。
  The City という市営バスでぼくは一人でうろつくつもりだったが
 おりあしく何十年ぶりかのストライキと重なり、動けず。
 しかたないので、ブコウスキーの本とニール・サイモンの戯曲集をまとめ買いした。

8/8
◆ あずきバー
 井村屋のアイスキャンディー。
 ぜんざいもそうだが、これもときどき無性に食べたくなる。
 テレビでその名を見て、いそいそとコンビニまで買いに行きました。

8/9
◆ 軽視
 この家で働いていない(ように見える)のはぼくだけだから
 当然のようにおろそかに扱われている。

8/10
◆ 筋力
 週1で在宅リハビリを受けられるようになった。
 痩せた小柄なおばさんが自転車で来てくれる。
 体をあちこち揉んでくれるのもうれしい。

8/11
◆ インドネシア映画
 最新作をNetFlix で観たが、映画づくりはどの国でもレベルが上がってる。
 2024年の作品「やがて霞たちこめて」は女刑事を主人公とするミステリー。
 ちょっとびっくりさせられた。

8/12
◆ サポートなし
 家には人がいなくなるので、あらかじめ釘を刺された。
 「体がおかしくなったら、自分で救急車を呼んでね」

8/13
◆ 映画三昧
 動画配信サービス U-next を利用して、映画を見まくっている。
 日中は外出を控えよ、と警報が出ているので
 最近では、家でぐーたら過ごすのが正解ということになっている。

8/14
◆ リズム感
 通所リハビリも週一利用している。
 これは16名ぐらいの集団で号令にあわせて体を動かすもの。
 たとえば、椅子に座って両手を振りながら、片足ずつ持ち上げる。
 ぼくはこれが苦手で、右左の順番をいつもまちがえる。

8/15
◆ かすかな記憶
 学生時代、院生時代にそれぞれゼミ合宿ってのをやった。
 どこでやったのか、とか全然記憶にないが、二つのことだけ覚えてる。
 学生のときは、先生が余興で「青い山脈」を歌った。
 院生のときは、報告者が緊張しすぎて途中で倒れた。

8/16
◆ よれよれ
 達筆だった父も晩年の字はひどいもんだった。
 ましてや、もともとひどいぼくの字はもう見るも無惨。

8/17
◆ ドバドバ
 台風が接近してるので激しく雨が降る。
 ひさびさに元気な雨が降るので、うれしくなっちゃう。
 どのみち出歩くところもないし、ね。

8/18
◆ 豆スープ
 業務用スーパーで買った豆の缶詰とトマト缶を混ぜただけ。
 味付けはマギーブイヨン、一粒のみ。
 チャチャっとできて、バゲットをかじりながら食う。

8/19
◆ 病気映画
 評判の良い「夜明けのすべて」(2024)を、Net Flix で観た。
 パニック障害の青年とPMS(月経前症候群)の女性が主人公。
 パニック障害はぼくも経験したので、しみじみしちゃいました。

8/20
◆ ちゃりに乗る
 漕ぎ出しちゃえば倒れずに進む。
 車はもちろん歩行者もほとんど通らぬ道が近くにある。
 はい、大病院の裏にそういう道があるんです。

8/21
◆ 歩行困難
 通所リハビリも在宅リハビリも週に1回ずつ受けてる。
 家の中でも一人で運動をするようにしている。
 なのに、体はますます不自由になっている。
 数百メートル先のコンビニまで、杖をついてハガキを買いに行った。
 往復1時間半、汗だくだぜ。

8/22
◆「一億特攻への道」
 NHKドキュメントはすごい番組だった。
 ぼくの故郷、八女郡のすべての国民学校の教師たちがそろって特攻を促す。
 それは、まあ、言われるまでもなくそのとおりなんだろうが
 最近公開された資料の束が、その迫力のほどを生々しく示す。

8/23
◆ 座り方が悪い
 足を投げ出し、ふんぞり返って椅子に座る。
 長年の悪い癖で、一日の大半をそうやって過ごしている。
 そのせいで腹筋が弱っており、体をまっすぐ立てることもできない。

8/24
◆ 虫が怖い
 ぼくは田舎出身のくせに虫が苦手だ。
 セミなど、みんなが平気で手でつまむのに、ぼくはそれができなかった。

8/25
◆ コミュ障
 2023年の日本映画「658km、陽子の旅」を観た。(Prime Video)
 東京で一人暮らしをする中年女が青森までヒッチハイクをする。
 ひとと交流できない女の「嫌な感じ」を、菊地凛子がみごとに演じて感動させられた。
 つまり、見ていてずっと嫌な感じだったのがすごかった。

8/26
◆ 礼状
 知人から著書をいただいたのに、返事も出さずにいる。(3件)
 直後に入院したとか、手元にハガキがないとか、ちゃんとした字が書けないとか
 自分なりに理由はあるが、そんな言い訳を書くもの恥ずかしい。

8/27
◆ 昭和天皇
 録画しておいたNHKドキュメント「秘められた終戦工作」を見た。
 今年のNHKの終戦特集はどれもすごくよかった。
 言うべきことは言っておくぞ、の意気込み。
 天皇の戦争責任を明言する歴史学者も紹介される。(吉田裕さんは院生時代の顔見知りだぜ)

8/28
◆ お暑うございます
 通所リハビリには施設からのお迎えの車に乗っていく。
 「おはようございます」だけでなく気候の挨拶もする。
 ぼくもそういう挨拶が世間並みにできるようになったんです。

8/29
◆ 面目ない
 夢の中で、外国人からバイクの故障をどうにかしてほしいと頼まれる。
 ぼくもどうしていいかわからない。
 英語はもちろん日本語でも専門的な説明ができない。
 どうやってその場を立ち去ろうか、と悩みながら目を覚ます。

8/30
◆ 難易度が高い技
 階段をトントントンとすばやく駆け降りる。
 ああ、昔はぼくでもできたことなのに
 いまはただうらやましい。

8/31
◆ ブックレビュー
 新聞や雑誌の書評欄は好んで読む。
 かつては市の図書館にいけば雑誌コーナーに居座った。
 隣の図書館分室では、予算が削減されたせいで、その楽しみがない。

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